色とりどりのバッグデザイナーの日常

バッグ作りにつながる日々のインスピレーションを記録します

僕たちにもお揃いのベストを!

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コロナの外出自粛期間中に、こんな可愛いものを作られてもらいました!ぬいぐるみくんたちのお洋服です。

ご依頼主は、おおたfabさん。おおたfabさんは、コワーキングスペース、3Dプリンターなどを備えたモノものづくりスペース、会議、レッスンなどができる貸しスペースの3つで構成されていて、前向きな目的を持った仲間が集う場を常に提供してくださっています。

https://ot-fb.com/

スタッフの方が着用されている紺色のベストと同じようなものを、ぬいぐるみくんたちにも着させてあげたい!とのご依頼でした。

ぬいぐるみの洋服を作るのは初めて。でも以前洋裁を少し習ったことがあり、簡単な洋服の作り方はおおよそ会得しているつもりだったので、そのミニサイズを作ればいいのだなと、このご依頼をお受けしました。が、いやいや、やってみるとそんな簡単なものではなく…

いろいろ苦戦をしましたが、その分身につくことも大変多く、とても勉強になるご依頼でした!!

 

■ 型紙を作る

簡単でなかった一番の要因は、ぬいぐるみのボディのサイズと形状。ぬいぐるみが身長10センチぐらいと小さく、その上そのボディに肩がなく胴体からすぐに腕が出ているという点でした。ベストは肩で着るもの。肩がないぬいぐるみくんたちのベストをどう作るか…?

とにかくやってみないことには始まらない、と、こちらのサイトを参考にさせてもらい、型紙をおこしました。(とてもわかりやすいサイトでした。ありがとうございます。)

 https://nuipe.com/plush-clothes/

このようにラインを引き、普通の洋服と同じように、前身頃と後ろ身頃を別々に作成してみました。肩幅は5ミリ程度。これ以上は狭くできないかなというギリギリの寸法です。

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この型紙を使い、普通の洋服と同じ感覚で、肩と脇を縫い合わせ、襟ぐり(首のところ)と袖ぐり(腕の付け根のところ)にそれぞれ見返し(部分的な裏地みたいなもの)を用意して、それらを中表にしてぐるっと縫い合わせ、表に返せばおおよそ完成。そう目論んでいましたが、NG!!

この型紙では肩幅が狭すぎて、襟ぐりと袖ぐりそれぞれに見返しをつけることはできません。また、とにかくサイズが小さいので、縫い合わせる部分をできるだけ少なくしないと、縫い代がゴロゴロしてしまいスッキリきれいに仕上がらないということも気づきました。

そこで型紙を改良。

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小さくて縫うのが一番難しいと思われる肩の部分を縫わなくいいようにくっつけ、前身頃と後ろ身頃を合体させた型紙にしました。併せて後ろ身頃を輪にすることで、後ろ中心も縫い合わせることなくスッキリとさせることにしました。ただ、この型紙で生地を裁断すると、生地の地の目がバラバラになってしまいます。今回後ろ中心を輪にしてそこに地の目を合わせたので、前身頃はほぼバイアスになってしまいました。生地が無地だったので気にせず進めてしまいましたが、柄に方向性があるものだったらこのやり方は無理でしたね。

裏地については当初はつけず見返しだけで縫い代の始末をしようと考えていましたが、見返しが無理だと気づいたので、やり方を変え、同じ形のものをもう1枚を裏布用に裁断し、2枚を縫い合わせる方法にしました。

襟ぐりと袖ぐりは曲線のため、きれいに縫うには縫い代に切り込みを入れなければいけません。その際のほつれを防ぐためと、バイアスになっている前身頃の生地が伸びてしまわないようにと、襟ぐりと袖ぐりが含まれる見頃の上部半分に前後とも、裏から薄い服地用の接着芯を貼りました。

■ 縫い合わせる

縫い方にもかなり工夫が必要でした。以下の要領で縫いました。

① 表布裏布それぞれ、袖ぐりの縫い代に切り込みを入れておく。それを袖ぐりの出来上がり線で裏側に折り、ミシンで押さえておく。

② 表布と裏布を中表にして縫い合わせ、前中心から襟ぐりにかけて縫い合わせる。襟ぐりのカーブの部分に切り込みを入れて表に返す。

③ 表布裏布それぞれ、脇を縫い合わせる。

④ 表布裏布それぞれ、裾を出来上がり線で内側に折り、2枚合わせて表からミシンで縫う。

⑤ ①でミシンで抑えた袖ぐり部分の表布と裏布を、手縫いで縫い合わせる。

⑥ 襟ぐりの端にミシンをかけ、襟ぐりを落ち着かせる。

⑦ 前中心の上と下に1つずつ小さなホックをつける。スタッフの方のベストは前中心にファスナーがついていましたが、ぬいぐるみくんたちのものはホックにさせてもらいました。

これらの工程で一番工夫したのは袖ぐり。小さくカーブしているこの部分を、いかにきれいに仕上げるか、試作品を作り検討しました。

 ■ ロゴを刺繍する

そしてもう一つ、私が初めてだったのは刺繍。今回おおたfabさんのロゴを別布に刺繍し、ベストの胸の部分に縫いつけました。

刺繍は、小学校の頃確か学校でいろいろなステッチを習った記憶はありますが、その後はまともにやったことがなく… ステッチの仕方はもちろん、図柄の写し方から、最後の糸の処理の仕方まで、こちらの動画を参考に、ほぼ1から勉強しました。(こちらの動画もわかりやすかったです。ありがとうございます。)

https://youtu.be/ApVBOQVfQSw

https://youtu.be/Lh8ECChbI64

おおたfabさんの名刺に載っているロゴを70%に縮小コピーし、それを裏に接着芯を貼った生地に写し、その線に沿ってステッチをしていきました。使ったステッチはサテンステッチとバッグステッチです。

刺繍で一番苦労したのは、円の部分。円に沿ってサテンステッチをかけていったのですが、とにかく小さい。ちょっと針目がずれただけで、円には見えないんですよね。大雑把ではダメなんだということに気づきました。刺繍はやっぱり難しい… 1日2日でなんとかなるものではないですね。

何回か練習し、ようやくこんな感じに仕上げられるようになりました。決して上手くはなく、なんとかロゴには見えるかなという程度ですが、こちらでお許しをいただきました。

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ぬいぐるみくんは全部で4つ。それぞれ少しずつ形の違うのですが、同じ形で作らせてもらいました。1つだけ胴回りが小さいぬいぐるみくんがいて、ブカブカになってしまったのですが、それついては、襟ぐりを後ろの中心で5ミリほど摘み縫いしサイズを調整しました。

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これらのぬいぐるみくんたちは、おおたfabさんでは、広報担当というポジションでしょうか。このベストを身につけ、お薦めの商品や書籍が並べられている棚で、しっかりお仕事されてました!

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おおたfabさんでは、様々なイベントが催されています。今月初めにはマルシェが行われ、私も参加させてもらいました。その際にこれらのお写真も撮らせてもらいました。自分が作ったものがお役に立てているところを見ることができ、感無量!苦労したけれども仕上げられて本当に良かったなと感じています。素敵なご依頼ありがとうございました。

ぬいぐるみくんたち、これからもお仕事頑張ってくださいね!