色とりどりのバッグデザイナーの日常

バッグ作りにつながる日々のインスピレーションを記録します

ワンちゃんのネッククーラー♡

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ネッククーラーです。なんとワンちゃん用!

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つけるとこんな感じです。お写真を送って頂きました(ありがとうございます!)。ワンちゃんかわいい♡ とってもおしゃれです!!

ご依頼主は杏子ママさん。ミニチュアシュナイダーの愛犬大河くんとの素敵な日常をブログに綴られています。

https://happydayswithminischnauzer.hatenablog.com

 今使っているネッククーラーのサイズがちょっと合わなくて…ということで、ご依頼をいただきました。

このネッククーラーを簡単に説明すると、輪っかを作り、そこにぐるっと保冷剤を入れる蓋付きのポケットを4つ作る。上下にコードを通しコードストッパーをつけて、装着後にワンちゃんの首のサイズに合わせてコード絞って調節する。というものです。

■ 製図をする

私はワンちゃんを飼ったことがなく、このような便利なネッククーラーの存在も知らなかったので、杏子ママさんに詳しく教えていただきました。今使われているもののお写真にご希望のサイズをわかりやすく書いたものを送ってくださったおかげで、制作の大体のイメージがすぐに湧きました。そのイメージをもとに、まずはざっくりと製図をしてみました。

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ぐるっとポケットにするので下を輪にし、蓋の部分を上につけました。この製図ではわかりにくいのですが(おそらく私にしかわからない…汗)、構造はとてもシンプルです。

■ 生地を決める

杏子ママさんのご希望は防水生地。防水生地だと色や柄が限られますし、そもそも私がきちんと縫えるだろうかとちょっと不安だったのですが、今使っているもののお写真を拝見したところ、防水ではなく、ナイロンの撥水生地でいけるだろうと察しがつきました。ナイロンの撥水生地はレインコートなどでよく使われている素材。防水でないので時間が経つと水がじわじわと染みてきてしまいますが、短時間であれば水を弾きます。

撥水生地をたくさん扱っているネットショップのサイトお知らせして、その中から選んでいただき、私の方で購入しました。

選ばれた生地は、グリーンの迷彩プリント。大河くんのハーネスとお揃いの柄なのだそうです。

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届いた生地を見てみると、かっこいい!そしてどこか涼しげ。

オーソドックスな迷彩プリントなのですが、うすーい水色のヴェールをかけたような少し柔らかな発色。ワイルドさと上品さが絶妙にミックスした、とても素敵な生地です。程よく張りもあり、縫いやすそうです。

生地はこちらのネットショップで購入しました。

https://item.rakuten.co.jp/pelote/ni21/#

■ 試作品を作る

製図段階ではとてもシンプルだったので、すぐに生地の裁断に取り掛かろうと思ったのですが、ポケットの蓋やコードを通す部分などがあるので、一発で縫うのはきっと無理。絶対縫い直しが発生するだろう。もしかしたら、製図を手直ししなければいけない箇所も出てくるかも…. とすると、すぐ裁断するのはキケン! と思い、簡単な試作品を作りました。手縫いでざっくり縫ってみて、コードの通し口を作るためにどこを縫いどこを縫わないでおくのか、縫い代はどの順番に折り、どの順番に縫ったほうがきれいに仕上がるのか、などを確認しました。また、製図を直すには至らなかったものの、蓋付きのポケットは、蓋とポケット口の間にほんの少しスペースがあった方が中に入れるもの(今回は保冷剤)の出し入れがやはり楽なので、ポケット口のところの縫い代を2mm多くすることによって、ポケット口を2mm下げました。

■ 裁断して縫う

試作品を作っていたため、スムーズに進みました。生地も予想通り縫いやすかったです。

■ コードとコードストッパーをつける

ほぼ完成!あとはコードを通しコードストッパーをつけるだけ。ということで、杏子ママさんに今使っているものに付いているコードとコードストッパーの拡大写真を送っていただき、コードストッパーについてはサイズも測って教えていただきました。新宿オカダヤに同じようなものがないか探しに行ったところ、これだろうと思われるジャストなコードストッパーがすぐに見つかりました。

ここからコード探しにちょっと迷走しました…

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購入したコードストッパーの袋に、適しているコードの太さは3mmと書いてあったので、ちょうど売っていた太さ3mmのアウトドア用のコードを購入しました(①)

中に芯が入っていて程よい張りのあるなかなか良いコードです。が、これだと、結び目が大きくなってしまう!ネッククーラーのコードを通すところの幅は1cmしかないので、ここにはとても通らない!結び目のことを全く考えていませんでした…  結び目を、コードストッパーを通したところですぐに作り、外に作って出してしまうという方法もありましたが、送っていただいたお写真はそのようになっていなかったので、他のコードを探すことにしました。

大概なんでも揃う新宿オカダヤでも他に良さそうなコードがなかったため、これはネットで探すかなとも思ったのですが、実物を見ないとやっぱりわからないなあ… あっそうだ、東急ハンズ!東急ハンズなら、手芸材料の範疇に捉われないいろいろなタイプのコードがきっとあるはず。と出かけたところありました。太さ1.5mmでやはり芯入りです(②)。

やや細いけど丈夫だし、これなら絶対に結び目も通る!でも、あれ⁈ コードストッパーをつけ、端と端を結んでその結び目をネッククーラーの中にしまい、キュッと軽く絞ってみると、えっ⁈結び目がほどけちゃう!丈夫なのはいいのですが、中に入っている芯が硬すぎて結び目がキツく結びにくいということに、今度は気づきました。注意して結び目を強目に結んで仕上げることはできそうでしたが、なんだか心許ない。何回か使っているうちに外れちゃうかもしれない。ちょっと心配。ということでこれもNG。

ダメもとでもう一度新宿オカダヤに行ってみました。これでなかったら、もうネットかなと思いつつ、よーく売り場を探したら、目についたのが、マクラメ編み用の糸のラックの下の方にあったコード(③)。これもマクラメ編みに使うのかな?太さは2mmぐらいです。このコードならば、結び目も大きくならず、しっかり結べます。

今まで芯入りのコードばかりを探していたのですが、サイズを調節するだけの用途ならば、さほど強度は必要なく芯は必要はない、ということに、ここでやっと気が付きました。

黒いコードは一般的なものだからすぐに見つかると思っていたのですが、全然違いましたね。どこに使うのか、なんの目的で使うのかによってコードは選ばなければければならず、それにはそこそこそ時間がかかる。生地だけではなくその他の材料についても、早い段階からしっかり探しておかなければいけないと、大いに反省しました。

■ 余った生地できんちゃく袋も

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生地が余っていたので、きんちゃく袋も作らせてもらいました。A5の手帳が入るサイズがご希望だったのですが、もし手帳を入れるのであれば、手帳以外のものも入れられるようにと、A5よりもひと回り大きめに作りました。というもの、私が自分の手帳入れとして作ったA5サイズのポーチは、手帳とペンケースでほぼパンパン。一緒に入れたいノートや読みかけの本が入れられなくて日々不便に感じているという実体験があるので(苦笑) また2cmほどのマチもつけました。ひもは、最初にオカダヤで買った①のコードをここで使わせてもらいました。

縫い代の端の処理は、いつもならミシンで裁ち目かがりのステッチをかけるですが、ナイロン生地はつるつるしていてステッチが生地に馴染まず、ものを出し入れするときに引っかかってしまいそうな気がしたので、今回は端ミシン(縫い代の端を少しだけ折って折山の際をミシンで縫う方法)にしました。

 

今回も楽しく、そしてとても勉強になったご依頼でした。ワンちゃんがネッククーラーをつけているお写真を拝見した時は、本当に嬉しかったです♡

仕上げるのが遅くなり、今季使う機会は少ししかなかったと思われますが(申し訳ありません)、来年の夏にまたご活用してくださると、作家冥利に尽きます。ありがとうございました!